前回は、自分に自信がない人の特徴5選
を紹介しましたが、今回は、
自分に自信がない原因について紹介します。
「自分に自信がない」とはどのような状態か、
かなり具体的にイメージできていると思います。
あなたにも、いくつか思い当たる点が
あるのではないでしょうか。
では、自分に自信がもてなくなってしまったのは
どうしてなのでしょう?
「自分に自信のある人」と何が違ったのでしょうか?
自信を取り戻すため、
「自分に自信がない原因」を理解しておきましょう。
1 家庭環境
自分に自信がもてない原因のひとつには、
幼少期の家庭環境が挙げられます。
心理学者の根本橘夫氏は、
自信や自尊心を含むという「自己価値感」について、
こう記しました。
「基底的な自己価値の感覚は、幼児期から形成され、
児童期の初期には確立してしまうといわれています。
その形成条件は、愛情豊かで適切な養育環境です。(中略)
逆に、基底的な自己無価値の感覚は、
愛情に欠けた適切でない養育において形成されます。(中略)
このような不適合な状況では、子どもは自分の感覚、
欲求、意思、感情、行動に価値があるとは感じられず、
自分そのものが無価値な存在だという感覚を
形成してしまうのです。」
(引用元:根本橘夫(2007),
『なぜ自信が持てないのか 自己価値感の心理学』,
PHP研究所)
よく知られているように、
生まれ育った環境は人格形成を大きく左右します。
子どもの頃、
・嬉しい
・悲しい
といった感情や、
・お腹が空いた
・トイレに行きたい
といった欲求を無視され、
価値がないものとして扱われ続けると、
「自分は価値のない人間だ」という感覚が
根づいてしまうのです。
家庭環境が自信に及ぼす影響は、
中学生・高校生になっても続きます。
発達心理学などを研究する渡辺弥生氏(法政大学教授)は、
親からの声かけに関する問題点をこう指摘しています。
「子どもがテストで良い点を取るなど、
なにか良いことがあれば「すごい」と褒めるけれど、
そうでない場合は叱ってしまったり
「もっと頑張らなきゃ」と言ったりする
親御さんは多いのではないでしょうか。
これが繰り返される中で子どもは、
良い点を取る自分は価値があるけれど、
そうじゃなければ価値がない、
というような不安を持ってしまうこともあるのです。」
(引用元:不登校サポートナビ|【心理学者の相談室】
子どもに自信をつけさせたい。どうすればいいの?)
このように育てられた人は多いのではないでしょうか?
頑張って勉強しても、テストの点が
上がらないことはあります。
そんなとき、努力を認めてもらえず
叱責されるばかりでは、
「自分はテストの点数でしか価値を
認めてもらえないのか……」と感じてしまいますよね。
このような感覚が根づくと、
大人になっても「私は○○ができない。だから価値がない」
という心理から抜け出すのが難しいのではないでしょうか。
Q. 家庭環境は、自信にどう影響するの?
A. 親のほめ方や叱り方によっては、
「私は〜できるから価値がある」
「私は〜できないから価値がない」という感覚が根づく。
2 失敗の経験
失敗した経験も、自信の喪失につながります。
物事をうまくこなせなかったという認識が、
「私の能力は低い」という感覚につながるのです。
心理学者のガイ・ウィンチ氏は、
失敗経験のもたらす影響をこう語っています。
「失敗すると自分が小さく見え、自信がなくなります。
大きな失敗をしたあとは、その失敗自体のみならず、
「自分は何ひとつまともにできない」
「どうせ一生ダメなんだ」と、自分のすべてを
否定する考えばかりが浮かんできて、
「無力感」や「無気力」にさいなまれます。」
(引用元:東洋経済オンライン|失敗や挫折を乗り越える人の「具体的な方法」)
たとえば、「ペンをなくした」というだけの
小さな出来事なら、自信には影響しにくいでしょう。
しかし、「ハンカチも見つからない」
「必要なレシートを捨ててしまった」と続いたら?
「自分ってダメなやつだな……」と、
自分の能力や価値を低く感じてしまう
のではないでしょうか。
そして、
財布をなくし、けっきょく見つからなかった
職場で扱っている個人情報を漏洩させてしまった
のように大きい失敗があると、
1回で自信が低下しそうですよね。
自分を責めたくなりますし、
まわりから批判を受けるかもしれません。
自分に自信がもてなくなった背景には、
過去の失敗経験があるのです。
コミュニケーションで「失敗」を
感じた経験が多いと、
自分に自信がないと感じ、
他人が怖いと思うようになるかもしれません。
Q. 失敗経験は、自信にどう影響するの?
A.「うまくできなかったから、私は能力が低い」と感じる。
3 高い理想
「私はダメだ」と自分に自信がもてない理由としては、
「現実の自分」と「理想の自分」のズレも挙げられます。
「本当はこうあるべきなのに、できていないから、
自分はダメなんだ」と感じているのです。
精神科医の名越康文氏は、
自信のなさについてこう語っています。
「「自信が持てない人」に共通するのは、
「キラキラした自分」や「成功している自分」
への期待と、そうなることができない現実とのギャップです。」
(引用元:東洋経済オンライン|努力しても「自信が持てない人」に欠けた視点)
「こうだったらいいな」と高い理想を掲げていたり、
向上心が強かったりする人は、
その基準に達していない現在の自分に自信を
もちにくいのではないでしょうか。
Q. 理想が高いと自信をもちにくいのはなぜ?
A. 理想に届いていない現実の自分を「ダメだ」と感じるから。
4 他人との比較
理想の自分と現実の自分を比較すると
自信が失われるように、自分と他人を
比べてしまうことでも自信が低下する場合があります。
他人との比較は、次の2種類です。
①上方比較:自分より優れた相手と比べる
②下方比較:自分より劣った相手と比べる
ふたつのうち「上方比較」は、自尊心を
低下させることが知られています。
社会心理学を専門とする礒部智加衣氏(千葉大学准教授)らの
論文では、比較と自尊心の関係がこう説明されています。
「人は自分よりも劣った他者との比較によって
肯定的な感情を感じ、状態自尊心が高まる。
逆に、自分よりも優れた他者との比較によって、
否定的な感情・状態自尊心の低下を経験する。」
(引用元:礒部智加衣・浦光博(2002),「内集団成員との上方比較後の感情・状態自尊心に,
集団間上方比較と特性自尊心が及ぼす影響」, 実験社会心理学研究, 41巻, 2号, pp.98-110)
たとえば、テストで80点をとり、
「よくできたな!」と誇らしい気持ちに
なっていたとします。
しかし、「平均点は95点だった」
という事実を知ればどうでしょう?
喜びの感情はしぼみ、
「平均より15点も低かったなんて……」と
落ち込むのではないでしょうか。
平均点さえ知らなければ、
このように否定的な感情を経験する
ことはなかったはずです。
このように、他人と自分を比べることで
自信が失われる場合があります。
「世間」や「平均」を意識することが多い人は、
自信をなくしやすいと言えるかもしれません。
Q. 他人との比較で自信が失われるのはなぜ?
A. 自分より優れた人と比べる「上方比較」が
自尊心を低下させる。
(STYDYHACKER記事より抜粋)
いかがだったでしょうか?
今回のポイントは、
自分に自信がない原因は
1 家庭環境
2 失敗経験
3 高い理想
4 他人との比較
理解していただけましたでしょうか。
自分に自信が特徴と自分に自信がない原因と
紹介しましたが、あなたはいくつ当てはまって
いましたか。
じゃあどうしたらいいのという事になりますから、
次回は、自分に自信がないときの改善方法を
紹介します。