睡眠不足

睡眠不足が及ぼす影響4選

「睡眠不足」はいわゆる「寝不足」のことで、
十分な睡眠が取れていない状態です。

誰しも一度は睡眠が足りず体のだるさを
感じたことがあるでしょう。

日本人の睡眠時間は世界で最も短いといわれており、
特に女性は家事や育児によって寝不足の状態が顕著で
あるといわれています。

睡眠不足は自覚していたとしても
「単に眠る時間が短かっただけだから」
と対処しないことも多いですよね。

しかし、十分な睡眠があってこそ心と体は
しっかり休むことができます。

睡眠不足が続くことによって心身には深刻な影響を
もたらすため、後回しにせず十分な睡眠を
確保する生活を送ることが大切です。

睡眠不足によって疲労感を
感じたことがある方も多いでしょう。

睡眠不足が与える影響は、
疲れが取れないだけでなく慢性化すると
うつ病や生活習慣病の悪化を招きます。

ここでは、睡眠不足が及ぼす影響について紹介します。

☆睡眠不足が及ぼす影響

1.ストレスが増える
睡眠不足によって、ストレスホルモンである
「コルチゾール」の分泌が増加するといわれています。

ストレスホルモンと聞くと悪いもののように
思われがちですが、コルチゾールは脂肪を
分解したり血糖値を上げたりするなど
生命維持に重要な役割をしています。

しかし睡眠不足などによってストレスがかかり
コルチゾールの分泌が慢性的に増え続けると、
不眠症やうつ病、生活習慣病を招く恐れがあるのです。

さらに睡眠時間が短いときには、
日常生活のなかで受けるストレスに対して前向きに
考えることが難しく、ネガティブな感情を
引き起こしやすいことも分かっています。

十分な睡眠を取ることは心を安定させ穏やかな生活を
送る上でも重要といえるでしょう。

2.集中力・判断力・注意力・認知機能が低下する
「寝不足で頭が回らない。」
「眠たくて集中できない……。」

と感じたことがある方も多いのではないでしょうか。

睡眠不足は集中力や判断力・注意力を
低下させるといわれています。

そのため作業の質が落ちて学業や
仕事に支障を来したり、さらには
転倒や交通事故を招いたりする危険性も
高めることがあります。

睡眠不足はさまざまな精神機能に影響を与えるため、
認知症の発症リスクが高まることも分かっています。

睡眠時間が短く、睡眠の質が落ちると少しずつ脳が
萎縮して認知機能が低下し、認知症の発症を招くことがあるのです。

人によっては、加齢や不規則な勤務形態などに
よって寝つきが悪くなることもあるでしょう。

精神機能を維持し活力のある生活を送るためにも
十分な睡眠が取れるよう工夫していきたいですね。

3.免疫機能が低下する
睡眠の質と免疫機能を調査した研究によると、
眠りの質が良い人ほど風邪にかかる割合が
低いことが分かっています。

反対に、睡眠不足になると免疫機能が低下して
感染症にかかりやすくなり、予防接種への反応も
弱くなるといわれています。

人が持つ免疫機能は、体内に細菌やウイルスなどが
入り込むと免疫物質を作ることによって体を
守るようにはたらいています。

この免疫物質が作られる過程で
重要なのが良質な睡眠です。

良質な睡眠をとれたかどうかは、
睡眠によって十分な休養が得られたかという
主観的な感覚が一つの基準となります。

日頃から満足な睡眠を確保することで、
健やかな生活を送っていきたいですね。

4.生活習慣病のリスクが上がる
睡眠不足の状態は、
生活習慣病を進行させるといわれています。

・生活習慣病とは
食事や運動、喫煙、飲酒、ストレスなどの
生活習慣が原因で起こる病気の総称です。

乱れた生活習慣によって糖尿病や高血圧、
脂質異常症などを発症し、それによって動脈硬化が
進行すると致命的な脳血管疾患や心疾患につながります。

睡眠不足による生活習慣病の発症には、
ホルモンのバランスが乱れることや睡眠リズムが
崩れることが関係しています。

・ホルモンとは
アミノ酸やコレステロールなどで
構成されている物質です。

ヒトの体は、体の状態を一定に保つように
常時はたらいており、ホルモンはそのために
必要な情報を必要な器官に伝達する役割を持ちます。

ホルモンは体の機能を調節し健康維持には欠かせません。

睡眠不足の状態では食欲を抑える
ホルモンの「レプチン」の分泌が減少し、
食欲を高めるホルモンである「グレリン」
の分泌が増加するといわれています。

そのため寝不足のときほど食欲が
増大する傾向があり、肥満になるリスクがあります。

肥満はあらゆる生活習慣病の危険因子であり、
慢性的に寝不足がある方は注意が必要です。

また、人の体は体内時計によって
夜間には脂肪を蓄積し分解を抑えるよう調整されています。

そのため夜更かしや夜勤をしている方が間食をすると
脂肪が蓄積されやすく生活習慣病の危険因子となります。

さらに、生活習慣病の患者さんには
「睡眠時無呼吸症候群」を発症している方が
多いことも分かっています。

・睡眠時無呼吸症候群とは
眠ると呼吸が止まってしまう病気です。

目が覚めると呼吸が再開し、
眠るとまた止まってしまうことを
繰り返すため日中に強い眠気が出現します。

呼吸停止により血中の酸素濃度が
低くなることから、高血圧や動脈硬化を
引き起こすといわれています。

睡眠中の一時的な呼吸停止は高血圧などを
悪化させ脳血管疾患や心疾患などが
引き起こされるリスクを高めます。

睡眠不足が続くと水面下で体にダメージを与え、
生活習慣病の発症や悪化に影響を及ぼします。

睡眠不足が続いていると感じている方は、
健康的な毎日を送るために早めに対策を行いましょう。

☆睡眠不足の原因
睡眠不足は運動不足や不規則な生活、
就寝前の飲酒・喫煙、ストレスなどが原因で起こります。

これらの原因によって体内時計のずれが広がったり、
寝つきにくさや睡眠の質の低下を招いたりします。

地球は1日24時間の周期、
ヒトの体内時計は約25時間の周期であり、
両者には約1時間のずれがあります[1]

このような周期のずれを修正するためには、
外界からさまざまな刺激(同調因子)を受けることが必要です。

「起きたらすぐに太陽の光を浴びることが良い」
と聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

朝の光は周期のずれを修正するのに
最も有効だといわれており、起床後に太陽光の刺激を
受けると体内時計がリセットされ、
15〜16時間後に眠気がくることが分かっています[2]

体内時計を整えるものには光刺激以外に、
食事や運動、仕事や学校などの社会的な因子があります。

生活のなかでさまざまな刺激を受けると
周期のずれが修正され、結果として
理想的な時間の睡眠と覚醒をもたらすのです。

昼過ぎまで眠って日中に体を動かさずに過ごしたり、
朝食を食べなかったりするなどのめりはりのない生活を送ると、
周期のずれが修正できず睡眠と覚醒のリズムが崩れてしまいます。

特に近年では就寝前のスマホの使用などによって覚醒が促され、
体内時計のずれが生じやすくなっています。

このように不規則な生活習慣によって
体内時計のずれが修正できず、
睡眠が不足したり睡眠の質が
低下したりする状態は「概日リズム睡眠障害」と呼ばれます。

概日リズム障害には時差ぼけともいわれる時差症候群や、
交代勤務睡眠障害という夜勤やシフト制勤務に起因するものもあります。

また、寝る前の飲酒や喫煙などの習慣、
ストレスを抱えている場合なども睡眠の質の低下を招きます。

アルコールは一時的に入眠を促進しますが、
中途覚醒の増加を招く原因となります。

たばこに含まれるニコチンは、
覚醒を促し寝つきの悪さや眠りを浅くするなどの悪循環を生みます。

職場や家庭における不安や緊張、
恐怖などのストレスは良質な睡眠の妨げに
なるだけでなく、不眠症を発症する原因にもなります。

このように、不規則な生活習慣や飲酒・喫煙、
ストレスは睡眠と覚醒のバランスを崩し、
睡眠不足をもたらします。
[1] 厚生労働省e-ヘルスネット「概日リズム睡眠障害」
[2] 厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針 2014
                                              (MediPaletteより抜粋)

いかがでしたか?
いかに睡眠が大切なのか、理解していただけたと
思います。

次回は、睡眠不足改善方法についてお伝えします。

 

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