「最近疲れが抜けなくてつらい……」
「疲労回復に効果がある栄養素ってあるのかな?」
毎日忙しくしていると、
なかなか疲れが抜けず困ってしまいますよね。
自覚はしていなくても、いつの間にか心身に疲れが
たまっているということもあるかもしれません。
疲労回復のためには日々の食事を見直すことも大切です。
この記事では、疲労回復になぜ食事が重要なのか、
疲労回復に効果があると考えられる栄養素について紹介します。
疲労回復に食事が重要な理由
「仕事が忙し過ぎて体がくたくた……」
「ストレスや疲れがたまっている気がする……」
仕事や家庭のこと、プライベートの予定など
忙しい毎日のなかで、疲れを自覚している方も
多くいらっしゃるかもしれませんね。
疲れをとるためによく休むことが
重要なのは皆さんご存じでしょうが、
食生活に気を配り、バランスのとれた食事を
摂ることも欠かせないといえるでしょう。
私たちの体は、食べ物や飲み物から体を
動かしたり生命を維持したりする
エネルギーを得たり、食べ物に含まれる栄養素で
体をつくってその機能を維持したりしています。
また疲労の原因といわれる物質に対抗する力も、
食事に含まれる栄養素の影響を受けるものと考えられます。
そもそも疲労とは、身体的あるいは精神的な負荷がかかり過ぎた
ことによって活動能力が低下した状態のことです。
かつては疲労の原因は「乳酸」という物質だと
考えられていましたが、
近年になってそうではないことが分かってきました。
現在では、疲労の原因には活性酸素が
関係しているのではないかと考えられています。
本来ヒトの体には増え過ぎた活性酸素を処理する能力が
備わっていますが、疲労や老化した状態にある体では活
性酸素を十分に除去することができず、
体内の脂質やたんぱく質が酸化させられ、
体の機能が衰えるため疲労が増すと考えられています。
疲れをためないためには十分な休息と栄養をとって
体をいたわるだけでなく、活性酸素に負けない体を
つくることも重要だといえるでしょう。
実は食品に含まれる栄養素のなかにも、
「抗酸化作用」といって活性酸素を取り除いたり
はたらきを抑えたりする作用を持つものがあります。
そのため、疲労回復には食事も重要なポイントだといえるのです。
・メモ
乳酸が疲労の原因物質だと考えられていたのは、
激しい運動時には体内で乳酸が増加するためです。
しかし疲労の経過とその増減が合わないことなどから、
別に原因があると考えられるようになりました。
・活性酸素とは
ヒトの体内に取り込まれた酸素が活性化された物質のことです。
生命機能を維持するために必要なものですが、
過剰になると老化やがん、生活習慣病の発症に
関わるといわれています。
体内の酸素のうち数%が活性酸素になると考えられています。
疲労回復に効果的な食べ物の選び方
「たまった疲労を回復するためには、
どんな食事を摂れば良いんだろう?」
食事といってもどのような食べ物を
摂ったら良いのかよく分からない、
という方が多いのではないでしょうか。
ここでは、疲労回復のために効果的と
考えられる食べ物をご紹介しましょう。
1.基本はバランスの良い食事を意識する
疲労回復のためには、まずはバランスのとれた食事を
摂るよう心掛けることが大切です。
特定の栄養素を摂ったからといって疲労が
劇的に回復するわけではなく、
さまざまな栄養素が助け合ったり影響を
与え合ったりしてはたらくことで力を発揮します。
日々の活動には十分なカロリーが必要ですし、
体を構成するためのたんぱく質も欠かせません。
まずは普段の食事内容を見直して、
バランスが偏っていないか、
エネルギーは足りているかなどを振り返ってみましょう。
2.疲労回復効果が期待できる成分を摂る
疲労回復のためには、エネルギー源となる炭水化物や脂質、
たんぱく質、これらを代謝するために必要なビタミンや
ミネラルに加え、抗酸化作用のある物質を摂取する
とより効果が期待できます。
抗酸化作用とは、活性酸素の発生を抑えたり、
発生した活性酸素を除去したりするはたらきのことです。
ここでは代謝に必要な成分や抗酸化作用を持つ成分など、
疲労回復効果が期待できる成分とそれらを多く含む食べ物を
ご紹介しましょう。
ビタミンB群とは、ビタミンB1、ビタミンB2、
ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、
葉酸、ビオチンの8種類の水溶性ビタミンのことです。
ビタミンB群は食べ物からエネルギーを
取り出す体内でのはたらきに大きく関係しています。
そのためビタミンB群が不足するとうまくエネルギーをつくれず、
疲労感を感じてしまう可能性があるのです。
ビタミンB群はお互いに助け合っては
たらくためいずれもしっかり摂取することが重要ですが、
ここでは特に疲労回復に重要だと考えられるビタミンを
いくつかご紹介しましょう。
ビタミンB1は糖質からエネルギーを
生み出すために必要な栄養素です。
いくらエネルギー源となる糖質を摂取しても、
ビタミンB1が不足しているとエネルギーを
十分に生み出すことができず、疲労やだるさ、
食欲不振などを起こしてしまいます。
ビタミンB1は玄米や豚肉、うなぎ、ごま、
大豆などに多く含まれています。
またパントテン酸は糖質や脂質、
たんぱく質からエネルギーを生み出す過程で
重要な役割を担っている栄養素です。
パントテン酸はさまざまな食品に含まれているため
通常の食事で不足することはありませんが、
酸やアルカリと一緒にすると熱に弱いという特性があります。
また、カフェインを含む飲み物やアルコールを
多く摂取する方は、パントテン酸を多く消費するので注意が必要です。
パントテン酸は肉などの動物性食品からも
野菜などの植物性食品からも摂取することができますが、
特に多く含まれているのは鶏や豚、牛のレバー、
卵黄やたらこ、納豆などです。
3.αーリポ酸
α-リポ酸はビタミン様物質に分類され、
チオクト酸とも呼ばれる成分です。
ビタミンのように代謝を助けるはたらきのほか、
抗酸化作用も持っています。
また激しい肉体疲労などへの改善効果が
認められていることから、
医療用医薬品としても使われています 。
α-リポ酸は牛や豚のレバー、ほうれん草、
ブロッコリー、トマトなどに含まれています。
・注意事項 α-リポ酸をある特定の遺伝的素因を
持った方が摂取した場合、
「インスリン自己免疫症候群(低血糖発作を起こす病気)」
を起こすことが分かっています。
この遺伝的素因を持った方すべてが発症するかは
まだ分かっていませんが、低血糖状態になると
冷や汗や手足の震えなどの症状が現れることが
報告されていますので、健康食品で摂取する際は
特に注意するようにしましょう。
4.カルニチン
カルニチンは体内に存在するアミノ酸由来の成分で、
L-カルニチンやアセチル‐L-カルチニンなど複数の物質の総称です。
L-カルニチンは筋肉に多く存在していて、
脂質の代謝において重要な役割を担っています。
がん患者には、一般的に化学療法や放射線治療、
栄養不良状態による疲労の症状がみられ、
またカルニチンが不足する場合もあります。
化学療法を受けたがん患者を対象とした複数の実験において、
カルニチンを補充することにより疲労が
改善・緩和されたという結果が出ています。
また末期腎不全の患者ではカルニチンが不足し、
貧血や筋肉低下、疲労などの症状が生じるため、
カルニチンの補充によってそれらの症状が
緩和することが示唆されています。
健康な方がカルニチンを補給することで
疲労が回復したという信頼性の高い報告は
今のところなされていませんが、
体内でエネルギーを生み出す際に
重要なはたらきをする成分です。
体内でもわずかならば合成可能ですが
必要量には程遠く、さらに年齢を重ねるごとに
合成量は減っていくので、意識して摂取すると良いでしょう。
カルニチンは赤身の肉や鶏肉などの肉類、魚、
牛乳などの動物性食品に多く含まれており、
肉の赤みが強いほど含有量が高いとされています。
・注意事項 脂肪燃焼効果やダイエット効果を
うたった健康食品として、カルニチンやL-カルニチンが
市販されているのを見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。
しかし肥満を改善する効果を示した報告はまだないのが現状です。
カルニチンそのものは医薬品としても使われているので、
摂取しても安全性に問題はないと考えられますが、
ダイエット目的での摂取については注意した方が良いでしょう。
5.クエン酸
疲労回復といえばクエン酸、
というイメージのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
クエン酸は柑橘(かんきつ)類に含まれる酸味の
もととなっている成分で、エネルギーを生成する過程に
おいて重要なはたらきをしています。
そのため、クエン酸を積極的に摂取すると代謝が促進され、
疲労回復やダイエットに効果があるといわれているのです。
ただし理論上はクエン酸の摂取によって代謝が
促進されると考えられるものの、
それを裏付ける信頼性の高い研究結果は
まだ報告されていません。
クエン酸の摂取だけで疲労回復効果を
期待するのではなく、全体的な栄養バランスを
整える上で少し意識してみると良いかもしれませんね。
6.コエンザイムQ10(CoQ10)
コエンザイムQ10はビタミン様物質と
呼ばれる脂溶性の物質で、ユビキノンとも呼ばれます 。
魚介類や肉類、ナッツ類などの
食べ物に含まれているほか、体内でも合成されており、
エネルギーを生成する過程に関わっています。
疲労回復やダイエット、アンチエイジング、
活性酸素の除去などが期待できるとして健康食品も
多く販売されているほか、近年では一過性の疲労を
軽減できる可能性があるとされる還元型コエンザイムQ10が、
機能性表示食品として販売されるようになりました。
しかしどの程度の効果が得られるかは、
その人の体調や生活習慣、製品の種類などに
左右されるため、確実ではありません。
他の栄養素と同様に、食事全体のバランスを
見ながら取り入れてみると良いかもしれませんね。
7.イミダゾールジペプチド
イミダゾールジペプチドは動物の体内で
最も酷使される部分に存在し、疲労感の軽減に効果が
あるとして近年注目されている成分です。
一般的には「イミダペプチド」と呼ばれ、
鶏胸肉やマグロ、カツオなどの魚類の尾びれに含まれています。
これまでの研究では、効果が現れるのは摂取してすぐではなく、
継続的に摂取を始めて2週間後以降であることが分かってきています。
疲れを感じたときに摂取するのではなく、
日頃から継続して摂取した方が効果的だと考えられますね。
イミダゾールジペプチドは疲労を軽減する効果だけでなく、
記憶力の維持に つながることも期待されています。
イミダゾールジペプチドを含む食べ物は、
心身の健康維持のためにも年齢を問わず意識して
摂取すると良さそうですね。
☆疲労回復のためには休養も大切
疲労を回復するためには食事に気を付けるだけでなく、
休養をとることももちろん必要です。
「疲れがたまって体調がいまいちだったけれど、
しっかり寝たら回復した」 といったことは多くの方が
経験しているのではないでしょうか。
睡眠は心身の疲労回復に必要な行為です。
心身の健康のためには適切な睡眠時間を確保することと、
質の良い睡眠をとることが欠かせません。
睡眠不足の自覚がある方や、忙しくてつい睡眠時間を
削りがちという方は、まずは毎日の睡眠時間や質を
改善してみましょう。
そして睡眠だけでなく、休息を適度にとって心身を
リフレッシュさせることも重要です。
忙しい現代だからこそ、心身の健康を維持するために
休養をとることを意識したいですね。
疲労の原因物質は活性酸素で
はないかと考えられており、
回復するためには活性酸素の発生予防や
除去をするはたらきを持つ抗酸化物質の摂取が重要です。
また毎日の活動に必要なエネルギーを得るためには、
エネルギー源となる炭水化物や脂質、
たんぱく質を代謝するための栄養素も
しっかり摂らなくてはなりません。
栄養バランスのとれた食事を摂ることはもちろん、
抗酸化作用のある栄養素や代謝に必要な栄養素も
意識して摂取すると良いでしょう。
疲労を回復するためには食べ物を
意識することはもちろん、適度な休養も大切です。
疲れがたまっている方は、
睡眠や仕事の合間の休憩なども積極的にとってみてくださいね。
(MediPaletteより引用)